横浜物語

横浜物語-2

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横浜物語-2

横浜物語-2(写真は三浦半島観音崎のタンポポです。)

横浜物語(副題)悪魔のロマンス-2
事業が拡大して組織が大きくなるにつれ、株式の上場を勧める声もあったが、利益追及が専らになってしまうからと上場を避け、質の良いプラン作りにこだわった。

60歳になった時、それまで100パーセント所有していた自社株のうち、66パーセントを数名の有能な後進に譲って引退し、その後はナオミとともに好きな美術館巡りをする傍ら、旅行記を執筆したりするなど悠々自適の人生だった。

会社法では、例えば事業譲渡などその会社の存続に係るような重要事項を決定する際には、議決権の3分の2以上の同意が必要とされている。達也は、後進に経営を譲ることとしたものの、自身が築きあげた会社との関わりをすべて放棄するつもりはなく、重要決議に係る拒否権行使に必要な34パーセントの株だけは自身の手元に残していた。

正午を知らせる汽笛が鳴った。
ナオミは居間に戻り、書棚の中ほどにある小さなフォトフレームをじっと見つめた。

フレームには一人の女性の写真が納められていた。
港を背景に颯爽と立っている巻き髪が少し肩にかかった美しい女性だった。
書棚の上段と下段には、全集や百科事典が敷き詰められていたが、中段には数冊の古びた本とその女性の写真しかなかった。

朝からほとんど食べていないが食欲は湧かない。
(やがて夕方がきて今日も終わる。明日も明後日もひとりきりだ。)

突然玄関のチャイムがなった。防犯カメラにスーツ姿の細身の男性が写っている。
(優一君だ。)
優一は、夫妻が長年確定申告を依頼していた税理士村上司朗の一人息子で、司朗亡き後、村上会計事務所を継いで数年経っていた。

かつて深田夫妻が住んでいた元町の家の隣に村上税理士の事務所を兼ねた自宅があり、男の子に恵まれなかった夫妻は、優一を子供の頃から可愛がった。

解説
ナオミの夫は自分が手塩にかけて成功させた会社の34%の株式を残して亡くなりました。
この株式の割合が物語を通じて書かれる事件の遠因となります。
序盤の主な登場人物は、ナオミ (遺産相続人)、優一(税理士)、J ( 優一の友人)です。

・・・To be continued・・・

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