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福岡物語-31【熊本小国の蕎麦街道
福岡物語(居場所を求めて)-31
国税局を出た海老原は、丸田との面会場所を伝える位なら止むを得ないと考えた。
丸田には、聴取の都度その内容を伝えることになっていた。

海老原は電話を掛けた。
「今終わった。今後の対応もあるので明日会って話したい。」

丸田が滞在しているホテル近くの喫茶店で会うことになり、海老原はその店の名前を松尾に伝えた。
松尾が海老原から得た情報は、直ちに多田隈に報告された。

面会場所の喫茶店には、伊東班のメンバーが張込み、近隣の車両内で黒木らが待機することとなった。やがて、喫茶店を出てホテルに戻る丸田を尾行した係官は、丸田の入室を確認後、簡易裁判所に急行して捜索令状を取得し、黒木に手渡した。

祇園ホテルのスィートルームに居た龍雄ら三人は、突然臨場してきた係官を見て愕然とした。
「高山龍雄、岩佐真司、丸田忠彦・・さんだな。これからこの場所を捜索する。あんたがたにはこれからずっと付き合ってもらう。」

そう言った黒木の背後には警察官も同行していた。
瞬時に龍雄が叫んだ。

「散れっ。」
龍雄は脱兎のごとく入口に突進し、岩佐も阻止する警察官に体当たりして逃走した。

丸田一人が逃げ切れずに取り押さえられた。岩佐が行きがけに叫んだ。
「忠彦、見殺しにはせんぞ!」

近くで落ち合った岩佐に、龍雄が言った。
「ここまで来やがった。あのリーダー眼が座っとったな。」
「警官突き飛ばしたから、公務執行妨害も付くな。」
岩佐が呟いた。

岩佐と小さなホテルに入ったその夜、龍雄は礼子に電話をかけた。
「姉ちゃん、これまで色々すまんかった。これからは俺が出る。」
「あんた捕まるんよ。」

「奴ら諦めんからな。俺がけじめをつけるしかない。ただし金は渡さん。」
「岩ちゃんが一人で背負うと言ってくれたが、迷惑をかけた姉ちゃんに代わって出るのは俺しかいない。いずれ姉ちゃんの旦那にも詫びを入れる。」

「龍雄、うちが身代りになっちゃるよ。」
「そんなことさせられん。」

「筋書を教えてくれればいい。うちは弟のお前に幸せを掴んで欲しいんよ。」
「姉ちゃん刑務所にぶち込ますわけにいかん。」

「あの人は分かってくれる。どんなことがあっても、うちとあの人の絆は切れん。」
「娘が可哀想じゃ。姉ちゃん、もういい。」

解説
黒木達は、龍雄達が居場所としていたホテルを急襲します。いったんはその場から逃れた龍雄と岩佐ですが、龍雄はもはや自分が捜査官と直接立ち向かうしかないと考えます。

・・・To be continued・・・

 

 

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